tt014 カメラ

CONTAX-T2
世界旅行者は、原則的には、「海外旅行では写真を取らないほうがいい」という考えだ。

例えば旅先で普通に女の子と会ってちょっと話をしたとする。
すると、時間が経過するに連れて、それはものすごい美女、色っぽい女性になる。
僕をひと目で好きになった人、ちょっと押せばエッチができたはずの、魅力的な異性と会った記憶に、変化していく。
想い出はどんどん美しくなっていく。

僕が京大の四回生の夏、南九州の熱風の中で、確か鹿児島県の志布志湾のローカル列車で一緒だった北海道の女子大生の記憶が、いまでも強く残っているよ。
「おっぱいの大きい美人だった」と言う記憶だ。

何しろその女の子は、タンクトップだったしね。
で、僕は彼女が降りる駅で、無理に降りようかとホントに思ったんだよ。
また、一緒の宿(といってもユースホステルだけどね)に泊まろうかとも思った。
そのころはまだ、今のセックスだらけの社会とは大きく違っていた。
旅先でちょっと話をしたことが、そのままセックスにつながるような状況はほとんどなかった。
でも、それだからこそ、世界旅行者のような純情な男性は「こんなに乳を出してる女の子なら、ひょっとしたらエッチできるかも…」と、妄想を膨らませられたわけだよ。

で、僕は彼女の乳が大きかったことは記憶に残っているし、すごく話しやすかったことも覚えてるんだけど、彼女の顔はまったく忘れてしまっている。
いまこの女の子の写真が残っていたら、失望するだろうね。
現在の女の子の標準のきれいさから比較すれば、90パーセントは「なんか、田舎っぽいダサい女の子だったよなー」なんて思ってしまうんじゃないかな。
でも、写真がないからこそ、「いや、彼女は今の基準から見てもすごくキレイな女性だった」と考えられるわけなんだ。

旅の想い出は、時間がたつほど、汚いものがどんどん削ぎ落とされて、残るのはきれいな記憶だけになる。

しかし、ベストセラーを書く「世界旅行者」ともなれば、自分の本やウェブサイトに載せる旅先の写真が必要になってくるよね。
特に「世界旅行者が旅先にいる写真」、これは重要だ。

というのは、誰でも感じているだろうけれど、日本人というのはほとんどが大嘘つきだ。
教師も、公務員も、一流企業の社員も、普通の人も、普通以下の人も、ぜんぶ嘘をついている。

だから、もちろん旅先では嘘つきだらけに出会う。
というか、世界旅行者は、旅先で本当のことを話す人間に出会うことはほとんどない。

僕の最初の本「間違いだらけの海外個人旅行」では、「日本人旅行者はみんな嘘つき」と断言してあるよ。

だから僕は、自分以外の他人の旅行談は、ほとんど信じていない。
ということは、僕の旅行の話もただ話しただけ、書いただけでは信じない人がいるだろうこと、これも真実だ。

そこで、旅先に世界旅行者がいる、その写真が必要になるわけだね。
旅先に世界旅行者がいる写真があれば、またそれが世界旅行者の本に掲載されていれば、それは世界旅行者が旅をした事実を確認することになるだろう。

また、世界旅行者がこれだけ名前が売れていれば、ぜったいに世界旅行者という名前を使って、海外や国内で詐欺を働く人間が出てくるに決まっている。
それを防ぐためには、最初から自分の本にはっきりした写真を出しておくことなんだね。

というわけで、世界旅行者は本でもインターネットでも、自分の顔を隠したりはしていない。
正直、「人間の顔は履歴書」なわけで、頭の切れる人は僕の顔を見ただけで「こいつはものすごく頭がいい!」と、わかるものなんだよ。
いや、これはホントの話だけどね。
ただ、頭の悪い人たちはそこが理解できないんだよな。
ま、僕の顔写真を見て、僕の文章を読めば、どんなバカなことを書いていても知的レベルが高いということはわかるよ。
そこのところなんだけどね。
おそらく、日本ではあまり頭がいいと、一般的な人気は出ないんだよな。
それが、僕が今ちょっと考えてることなんだけどさ。

【写真】世界旅行者のコンタックスT2