T&T#024:e-mailだけの旅行用名刺を作る
世界旅行者は「謎のみどくつ名刺」というものを持って、アジア横断をやったことがある(アジア超特急地獄旅行)。
また、上海から雲南省、インドシナを通って、バンコクまで旅したこともある(上海〜盤谷旅行記2002)。

みどくつ名刺が古くなったので、T&T旅行に出る前に、世界旅行者名刺を新しく作製した。
特徴は名刺のカエルマークが、「大人の海外個人旅行」の前書きにプリントされているものと一緒だというところかな。

また、英語の表現を外した。
外国人はワケがわからなくても漢字の名前の名刺が好きなものだしね♪

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「間違いだらけの海外個人旅行」
第二章海外旅行珠玉の格言 7)住所を聞かれたら、嘘を教えろ

僕がまだ旅慣れないころ、旅で出会う人に自分の住所をすぐに教えていた。
自分の住所を聞かれると、ついつい気分よくなって、教えてしまう。

ついでに、「日本に来たら是非連絡して下さい」なとど付け加える。
「なにか出来ることがあったらしますよ」なんて気軽な約束をする。

まあ、日本人なら、この程度のことは、言っちゃうよね。
でも、普通の日本人は、こういう言葉は建前だけだと知っているので、連絡しないのが常識じゃないかな。

しかし、外国では違う。
特に発展途上国では日本人と知り合っている、日本人の住所を持っていると言うことは、大切なことで、利用できるようだ。

ずいぶん昔、僕がネパールのホテルで親しくなったマネージャーと日本のカメラの話で盛り上がって、住所を聞かれるままに教えたら、ネパールから葉書が来て、日本のカメラのパンフレットを送ってくれと書いてあった。
まあ、僕が気軽に約束してしまったみたいだ。

面倒なので無視していたら、何通も届いて「切手代が大変です」なんて書いてある。
しかたなしに、カメラのパンフレットやカメラ雑誌を送ってあげたものだ。

また、ビルマで日本語ガイドと知り合った時、住所を交換して、これもまた「日本語の辞書を送ってあげるよ」と約束してしまった。
でももちろん、日本に帰ったらすっかり忘れてしまった。

僕って、いいかげんな人間なんだね。
ま、日本人って、そんなものじゃないかな。

でも、彼からもエアメールが届いて、いつ送ってくれますかと書いてある。
僕も悪い人間じゃないので、ここまで書かれると変に気張ってしまって、遅れた言い訳というか、高価な辞書を送ってしまった。
しかも、航空便で送ったので送料が高かったなー。

このように、別に特に興味があるわけでもない、付き合っても役に立たない人間に、自分の住所を教えると、面倒だ。

僕がエジプトのルクソールで出会った日本人女性は、一人で中米や南米、アフリカなどに気軽に出かけて行って、現地でもすぐに人の家に泊りに行ったりする大胆な人だったが、ペルーで住所と電話番号を教えて「日本へ来たら寄ってよ」と言ったら、なんとペルー人の出稼ぎが何人も泊りに来て、家に居座られて、なかなか出て行かず、追い出すわけにも行かず、迷惑したそうだ。

また、外国人に住所を教える面倒だけではなくても、海外で日本人旅行者に住所を教えても問題がおこることがある。
僕がグアテマラで出会った日本人旅行者は、「日本に帰ったら住む所がないんだけど、旅先で住所を教えてもらった人がいるので、そこを転々としてれば、なんとかなるさ」と言ってた。
押しかけていこうと考えてたようだ。

これも、面倒な話だよね。
まあ、どんなに押しかけられてもそれが好きな人もいるので、そういう人は別にして、普通は住所を教えない方が利口だ。

最近は、欧米人旅行者はみんなインターネットのe-mailアドレスを持っている。
だから、僕は、e-mailアドレスだけの名刺を作って、海外でもそれを配ることにしている。

昔、バンコクの中国人街の日本人専用食堂「北京飯店」で冷やっこを食べてた時、出会った日本人旅行者の住所や電話番号をかたっぱしから聞きまくって、ノートに書いていた旅行者がいた。
「こんなすごい皆さんと出会えて、感動です。是非日本に帰ったら、連絡しますから」と、中途半端な営業マンのような話をしていた。

彼がおそらくわからないのは、安宿に泊って、安食堂に来るような日本人旅行者という生物は、ウソツキだらけで、何の役にも立たない連中だということ。
下手に住所を交換したら、あとあとどんな危険があるかわからない。

1999年の夏、中国の奥地、カシュガルに集まっていた日本人学生諸君は、いつも10人程度つるんでがやがや一緒に行動していた。
彼らは住所も交換して、日本に戻ったら、また集まりましょうと盛り上がっていたが、旅で出会った人と、日本で再会しても面白くも何ともない。

旅先だから面白かっただけだ。
日本で面白い人間がいないように、旅先にも、面白い日本人などはいない。

面白いのは、旅なんだよ。
人間じゃないんだ。

だから、旅先で住所を渡してはいけない。
しかし、住所を聞かれて「教えたくない」と言うのも角が立って、日本人にはできにくい。

住所や電話番号を聞かれたら、僕は愛想よく嘘の住所を教えることにしている。
これならば相手の感情も傷つけず、自分の安全も確保できるわけだ。

旅に出る前に、最初から自分の嘘の住所を用意して、できたら暗記しておいたほうがいいだろう。これは、本当に役に立つアドバイスだ。
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【参照】
アジア超特急地獄旅行 
上海〜盤谷旅行記2002 

【写真】最新版の世界旅行者名刺
【旅行哲学】旅人は旅だけで出合うもの、日本では再会しない方がいい。